ミャンマーの教育システムと有名な工科大学について
最近良く聞く、ミャンマーのエンジニア。
母国ミャンマーの教育システムと彼らが卒業した工科大学についてまとめました。
ミャンマーの教育システム
ミャンマーの教育課程は基礎教育と高等教育に分けられます。
基礎教育には幼稚園、小学校、中学校、高等学校が含まれています。義務教育は,小学校のみです。
基礎教育は、2016年度以前は11年制でした。
(幼稚園1年間、小学校4年間,中学校4年間,高等学校2年間)
幼稚園に入学する際の年齢は5歳で、高校卒業時は16歳です。
2016年度より教育カリキュラム改革が始まり、現在では12年制に変更されました。
(幼稚園1年間、小学校5年間,中学校4年間,高等学校3年間)
ミャンマーではほとんどの学校が公立ですが,最近は私立の学校の設立も認められるようになりました。
また,ヤンゴンのような大都市では少ないですが、地方では僧院での寺子屋式教育も行われています。
ミャンマーの大学入学について
ミャンマーでは大学ごとに受験があるわけではなく、高校卒業試験の結果によって進学する大学が決定します。
ミャンマーの高校卒業試験は合計6科目
必須科目:国語(ミャンマー語)・英語・数学
理系:化学、物理学、生物学
文系:経済学、地理、歴史
文系か理系への進路は高校1年生時に決めます。
卒業試験は高校3年生の3月中旬に行われます。1科目100点満点で合計600点です。
経済学部や法律学科に入りたい学生以外のほとんどは理系科目を選びます。
その理由として、理系科目を選ぶと授業は全て英語で教わることができ(教科書が英語表記、授業自体はミャンマー語)、
将来を見据えた良いチャンスであると考える親が多いためです。
一方、文系科目はミャンマー語で教わります。
高校3年生の時に受験する卒業試験において、6科目合計で最低40点以上取らないと大学に入学することが出来ません。
40点以下の場合次年度にまた挑戦することになります。
しかし、一度でも40点以上をとってしまうと、二度と卒業試験を受ける事は出来ないため、自分の点数に該当する大学を選ぶ必要があります。
またミャンマーは他の国と違い大学入学に必要な点数は女子と男子で異なります。
同じ大学の同じ学部に入学するにも女子の方が高い点数取らなければなりません。
大学の合格最低点数は毎年変動します。
最低点を取れたとしても定員に達していたら入学することができません。
例えば、2017-2018の最低点数は以下の通りです。
大学名 | 最低点数 |
ヤンゴン工科大学 | 500 |
マンダレー工科大学 | 491 |
タンリン工科大学 | 442 |
西ヤンゴン工科大学. | 420 |
工科大学モービー | 398 |
大学は4年制で(工学6年制、一部5年制もある)、修士課程は2年制です。
前期は12月、後期は6月から始まります。(遠隔教育大学以外)
(高校の卒業は5月、大学の入学は12月です。)
大学進学率は18.82%(2018年データ)。
大学に進める学生はごく一部であり、大学に進学した人は皆一生懸命勉強するだけでなく、学んだことを活かせる仕事に就きたい気持ちが強いです。
また文系大学も理系大学も女性比率が高いです。
ミャンマーの工科大学について
ミャンマーでは工科大学30校あります。
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- Yangon Technological University
- Mandalay Technological University
- Technological University, Thanlyin
- West Yangon Technological University
- Technological University, Hmawbi
- Technological University, Pyay
- Technological University, Bhamo
- Technological University, Dawei
- Technological University, Hinthada
- Technological University, Hpa-An
- Technological University, Kalay
- Technological University, Kyaingtong
- Technological University, Kyaukse
- Technological University, Lashio
- Technological University, Loikaw
- Technological University, Magway
- Technological University, Maubin
- Technological University, Mawlamyaing
- Technological University, Meiktila
- Technological University, Monywa
- Technological University, Myeik
- Technological University, Myitkyina
- Technological University, Pakoku
- Technological University, Panglong
- Technological University, Pathein
- Technological University, Sagaing
- Technological University, Sittwe
- Technological University, Taunggyi
- Technological University, Taungoo
- Technological University, Yamethin
ヤンゴン工科大学
ヤンゴン工科大学はミャンマー国内で一番歴史があり有名な工科大学です。大学入学点数も高く、優秀な人材が集まる大学といえます。優秀なエンジニアを毎年輩出しており、海外のIT企業へ就職する学生が多くいます。
12学部18学科があります。
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- 土木工学部
- 機械工学部
- 電力工学部
- 電子工学部
- 建築学部
- メカトロニクス工学部
- 情報技術学部
- 冶金工学部
- 鉱業工学部
- 化学工科部
- 繊維工学部
- 地質工科部
マンダレー工科大学
ヤンゴン工科大学の次に設立された国内2番目に歴史のある工科大学です。ミャンマーの北部にある高校試験センターから合格した方々はマンダレー工科大学へ、南部で合格した方々はヤンゴン工科大学へ申請する形になっています。マンダレー工科大学もヤンゴン工科大学と同じく人気があり優秀な学生が多いです。
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- 土木工学部
- 機械工学部
- 電力工学部
- 電子工学部
- 建築学部
- メカトロニクス工学部
- 情報技術学部
- 冶金工学部
- 鉱業工学部
- 化学工科部
- 繊維工学部
タンリン工科大学
ミャンマー国内の大学ランクにて工科大学の中では2位、全国の164の大学の中では8位にランクインしています。ヤンゴンに生まれ育った大卒者の半分以上はタンリン大卒の方といわれています。
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- 土木工学部
- 機械工学部
- 電力工学部
- 電子工学部
- 建築学部
- メカトロニクス工学部
- 情報技術学部
- 冶金工学部
- 繊維工学部
西ヤンゴン工科大学、工科大学モービー
西ヤンゴン工科大学は2005年12月に設立され、タンリン工科大学の次に有名な大学です。工科大学モービーは国内の工科大学の中で3位にあります。どちらとも学部は7つあります。
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- 土木工学部
- 機械工学部
- 電力工学部
- 電子工学部
- 建築学部
- メカトロニクス工学部
- 情報技術学部
上述の通り理系の大学では英語での授業がメインのためミャンマー人エンジニアは英語が堪能です。
大学で学んだことを活かして日本の高度な技術を働きながら学びたいという方が多いです。
ミャンマーエンジニアご興味をお持ちでしたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
参考サイト
- https://kenta-takada.com/myanmar-university-ranking/
- https://www.jasso.go.jp/ryugaku/related/kouryu/2014/__icsFiles/afieldfile/2021/02/19/201411kamibepputakao.pdf
- https://www.okayama-u.ac.jp/user/myanmar/myanmar_report.html